日本におけるベルギービールの状況

ベルギービール・ウィークエンド2015六本木日本に輸入されているベルギービールの銘柄数だけを捉えると、ついに日本にいてもベルギーにいるのと同じような状態が実現したかのようです。

私が初めてベルギーを訪れた1995年、マイケル・ジャクソン著『地ビールの世界』(田村功訳)が発刊された年ですが、その著書に登場するベルギービールのほとんどは日本では入手不可能で、ベルギーでそれらのビールを発見したときは歓喜いたしました。今ではベルギーへ行っても日本に輸入されていない銘柄をビアカフェのメニューに見つけることは難しいと聞きます。

また、2005年の愛知万博はその大きな契機の一つでしたが、その後、今まで日本では味わうことがほとんど出来なかったベルギーの樽出しビールが各種輸入されるようになり、広まってきました。2010年からのベルギービール・ウィークエンドを始めとしてさまざまなビア・フェスティバルが開催されるようになり、ベルギービールの認知度も高まり。情報も豊かになってきました。ベルギーの醸造所にとっても日本がマーケットの対象となるということで、頻繁に来日するようにもなりました。

今現在、国内ではベルギービールの輸入に携わっておられる方々、積極的なビアカフェの方々の熱意により、樽出しビールや新規に輸入されたビールが日を置かず飲むことができます。地方の方でも熱心な通販の酒販店を通して限定ビールが手軽に入手できる状況になっています。

そういう嬉しい状況にはありますが、ベルギービールの価格についてなんとか改善されないものかと感じています。ベルギービールを知らない人にビールを薦めても、なかなか受け入れてもらえない理由もそこにあるかと思います。ベルギービールをさらに普及させるためにはもう少しお手ごろな価格になって欲しいものです。

さて、ベルギーでは歴史ある醸造所から新銘柄が発売されたり、新しい醸造所が設立されるなどで未知のビールが続々と登場しています。我々ベルギービールファンがこれらのビールを追い求め、それを受けとめてくれる輸入元、ビアカフェがある限り、引き続き、新しい銘柄のベルギービールが数多く輸入され、我々をさらに楽しませてくれるに違いありません。

ベルギービールの賞味期限について

トリペル・カルメリート大瓶の底我が国においてはアルコール類全体でいうと、ワインや日本酒、その他蒸留酒等には賞味期限は表示されていません。ワインのヴィンテージ物、日本酒の古酒というものがあり、お酒という飲み物が、熟成するもので熟成によってさらに美味しく変化するということが普通に受け入れられています。ただし、ビールについては、国産大手メーカーやクラフトビールなどは「鮮度が一番」という姿勢で販売しており、ラガー系のビールは実際に新鮮な物の方が美味しいので、新しいものが求められています。

さて、ベルギービールはEUの規定により賞味期限または瓶詰日の表示が義務付けられているので、賞味期限をとりあえず瓶詰めしてから2年後と表示している醸造所が多いようです。

私たちは、ベルギービールについては賞味期限はなく、ワイン同様熟成を楽しむ飲み物であるということを主張して参りました。ベルギービールの賞味期限は、「best before」なのであって、これは、正確には「ある保存条件の下で、製品が完全な市場性を有し、かつ、黙示的又は明示的に表示されたいかなる特定の品質をも保持する期間の終期を明らかにする日付を意味している。しかしながら、その日付を過ぎても、その食品は依然として完全に満足し得ることもある。」ということなのです。「best before」と表示するビールも増えてきたのは、喜ばしいことです。

Japan Belgain Beer Promotion Council